「きらめきの堕天使」サンプル
「マリーのsecret placeにようこそ」
「……はぁ?」
「あなた、ツシマヨシコでしょ?」
「えっ! な、なんで……」
「あれ? 違った?」
「わ、私は、ヨハネよっ」
「ヨ、ヨハネ?」
「そ、そう。私の真の名は、堕天使ヨハネ……なの」
思わずそう口走ってた。
……この学校に来て、誰にも言ってないのに。
言わないようにしてたのに、どうして?
後悔しつつ、この後に訪れる状況を身構えたんだけど。
「Fallen Angel? …OK,ヨハネ」
「……ええっ? い、いいの?」
「いいも何も、自分で言ったんじゃない」
「あ、うん。そうだけど……」
だ、だって、こんなふうに受け入れられたのって初めてで……調子が狂う。
「よろしくね。ヨハネっ」
「えっと……は、はいっ。えっと……オハラ先輩、ですよね?」
「What! 何で知ってるの?」
「クラスの人たちが話してたから……違ってますか?」
ハーフだかクォーターだかハッキリしないけど、金髪のキレイな三年生がいるって話してたのを聞いたことがあった。
都会の学校ならともかく、こんな小さな学校なら、この人で間違いはないはず。
「正解よ。My name is Mari Ohara. マリーって呼んでくれていいから」
「マリー……先輩?」
「No,no. マリーでいいわよ。あと敬語はやめて」
「じゃあ、マリー?」
そう言うと、彼女は……マリーはフフッと笑った。