すあま皇国

同人サークル「すあま皇国」の雑記帳です

「星に願いを」サンプル

「……ねぇ、なんで? 私なんかのために」
「え? そんなの簡単よ。ヨハネのために、何かしたいって思ったからよ」
「だから、なんでなのよ。初めて会ったばかりなのに」
「……そう言えば、どうしてかしら?」
「はぁ?」

 ヨハネに言われて気づいたけど……なんでだろう?
 ただ、何となく湧きあがってた気持ちには気づいてて。

「もしかして、チャームの魔法でも使った?」
「使ってないし!」
「じゃあ……ただ、ヨハネのことが好きになったのかもね」
「ひゃえッ!」

 言葉にしてみたら、ストンと何かがハマった感じがした。
 最後のピースが見つかって、パズルの絵がピタッて完成したみたいに。
 でも、ヨハネってばポカンと口を開けて、わたしを見てる。

「あら、ダメだった?」
「ダ、ダメっていうか……えっと……その……」
「もう恋人がいるの?」
「いや、いないけど……じゃなくって」
「他に気になる人がいるの?」
「それもいないけど」
「それなら、なんの問題もないわね。魔導士は恋人を持っちゃいけないって決まりはないはずだし」
「いやいやいや! それ以前に、私は女よ? マリーも……え、もしかして」
「わたしも女よ。それがどうかしたの?」
「どうかって……大事なことじゃないの?」
「そう? わたしは気にしないけど。些細なことじゃない?」
「……貴女がちょっとフツーじゃないってことは分かったわ。マリー」
「あらそう? でも、漆黒の闇魔導士さんに言われたくないわ」

 わたし達はお互いの顔を黙って見つめて、そして笑った。
 楽しくて、嬉しくて……どれくらいぶりだろう? こんなに笑ったのって。

「まぁ、いいわ。よろしくね、マリー」
「こちらこそ。がんばりましょうね」